看護師の残業時間はなぜ多い?働きやすい職場づくりのためにできる5つのこと
看護師は残業時間が多いって本当?
残業時間が多い…と感じつつ、実際の看護師の残業時間を知っている方は少ないのではないでしょうか?本章では、実際に看護師がどのくらい残業をしているのか、その実態と残業が増える理由についてみていきます。
超過勤務がある割合は84.5%…!看護師の残業時間の現状
日本看護協会の2022年の調査によると、月平均で1時間以上の超過勤務がある看護師の割合は84.5%であり、平均の残業時間は 5.4 時間となっています。
時間別にみると、「1~4 時間未満」が 31.7%で最も多く、次いで「4~7 時間未満」が 22.6%、「7~10 時間未満」が 14.9%、10時間以上(10~15 時間未満、15~20 時間未満、20 時間以上)の回答は合計で15.3%にのぼります。
※出典:日本看護協会「2022 年 病院看護・助産実態調査 報告書」(P.12)
また、2021年「看護職員実態調査」では、実際に行った超過勤務の平均は月17.4時間である一方、申告した超過勤務時間の合計は平均8.7時間となっており、サービス残業が多く発生していることがわかっています。
どうして看護師の残業は多くなるの?
残業時間が多く、サービス残業も多く発生しているという結果がありましたが、なぜ多くの看護師が残業をしているのでしょうか?主な理由として、以下のものが挙げられます。
・慢性的な人材不足
医療従事者は全体として人材不足です。人手が足りないと、看護師1人あたりの業務量や担当する患者数が多くなり、業務時間内に仕事が終わらないという状況に陥ってしまいます。
医療現場における人材不足の原因については、下記記事で紹介しています。気になる方はぜひご覧ください。
・看護記録など書類の作成業務
看護師の業務内容などを記載する看護記録は、業務が終了する度にこまめに記入する必要がありますが、業務時間内に作成する時間が取れず時間外に記入することがあります。その他、看護計画や研修レポートなどさまざまな書類仕事もあり、それらに時間を取られてしまうことも残業が多くなる1つの理由です。
・急患への対応
患者の容体が急変したり突発的な入院が発生したりすると、その対応を最優先で行わなければなりません。
救急搬送が多い病院や、患者の症状が変わりやすい循環器科や産婦人科では特に急患対応が多くなり、時間外でも対応を迫られることがあります。
・研修や勉強会への参加
看護師は、看護や医療の知識を常にアップデートする必要があるので、研修や勉強会などに参加する機会が多く与えられます。研修や勉強会に参加している間は他の業務を行えず、仕事が溜まって残業せざるを得ないケースや、研修や勉強会そのものが時間外に行われるといったことが発生しやすいです。
・勤務交代時の引き継ぎ
入院施設のある病院は24時間体制で対応する必要があり、2交代制や3交代制で夜勤のシフトをとることが一般的です。日勤と夜勤、あるいは準夜勤と交代するときには、業務の引き継ぎのために始業前や就業後の時間外労働が発生しがちです。引き継ぎが時間外に行われることが常態化し、改善しようと思っても声を上げにくい職場も多いようです。
人材確保のために、看護師の働き方改革は重要!
前章で解説したように、看護師は人材不足の傾向があり、いかに人材を確保するかが課題です。人材確保のためには離職率を抑えることが効果的ですが、残業が多く発生している状態では看護師が不満を持ちやすくなり、離職率が高まってしまいます。離職者が多くなると少ない人員で業務をこなさなければならなくなり、業務負荷で職場環境が悪くなり、より離職率が高まる…という悪循環に陥ってしまいます。
そこで、看護師の業務負担を抑え、働きやすい環境になるような働き方改革を進めることが不可欠です。働き方改革を進めてワークライフバランスが改善すれば、看護師のモチベーションの向上やストレス・疲労の軽減などにつながり、子育てや介護など家庭の事情がある看護師でも働きやすくなります。
では、残業時間を減らすためにどのようなアクションを取るべきでしょうか?
残業時間はどう減らす?解決のためにできる5つのこと
残業時間を減らすためにできることとしては、主に以下の5つがあります。
① 勤務形態を見直す
日勤と夜勤では、日勤の方が残業が多くなりやすいですが、勤務形態を見直すことで残業を減らせる可能性があります。例えば、10時~19時など勤務時間を通常の日勤と少しずらしたシフトや、短時間勤務のシフトを組み入れることで、通常の日勤を行う看護師の負担が軽くなり、残業時間の削減につながります。
② システムを導入するなどデジタル化を推進する
電子カルテや音声入力システムなどのシステムを導入し、デジタル化を進めることで業務効率化やスムーズな情報共有を図ることも効果的です。前章でご紹介したような残業が多くなる原因の1つである「慢性的な人材不足」や「看護記録など書類の作成業務」も、デジタル化を推進することで改善できます。
電子カルテを導入すれば、紙カルテを探す手間や診療内容を確認する手間が省けるため、時間短縮につながることはもちろん、外部での検査結果をオンラインで確認できるなど、スムーズな情報共有ができます。
③ 研修制度や学習環境を見直す
研修や学習の時間を勤務時間外ではなく、勤務時間内に実施できるよう見直しを行うことも大切です。
医療技術の発展が進む昨今では、研修や学習環境は看護の質を維持・向上するために重要であり、その質を高め、効率的に学びを得られる環境を整備していく必要があります。特定行為研修など、看護師を育成する制度の費用を一部負担したり、シフトの調整を柔軟に行ったりするなど、病院側も協力していくことが求められます。
④ 看護師間・スタッフ間のコミュニケーションを円滑にする
スタッフ間のコミュニケーションがギクシャクしていると、業務の引き継ぎや情報共有などに支障が出やすくなります。
コミュニケーションを円滑にすることで業務連携がしやすくなり、それぞれの負担を軽減することが可能です。業務の引継ぎや急患の対応なども、チームで協力することで残業時間の削減につながります。また、職場の雰囲気が良くなることで、モチベーション向上につながる効果もあります。
⑤ 職場環境の改善
職場の環境に問題があると離職率の高さにつながり、働き方改革が遠のいてしまうため、職場環境の改善も重要な取り組みです。
現状の人員配置を見直すことに加え、業務内容・業務負担について現場からヒアリングを行い、職場内で何がストレスの要因となっているのかをまずは特定しましょう。現状が把握できれば、必要な改善策を考えることができます。
職場環境の改善策の1つとして、メディカルウェアを活用した方法があります。例えば、メディカルウェアの色を日勤・夜勤で使い分けることで、日勤と夜勤のスタッフが一目でわかり、引き継ぎをスムーズに行えるようになります。また、残業しているとウェアの色の違いから目立つため、業務を時間内に終わらせようとする意識が働く効果もあります。
▼メディカルウェアの日勤・夜勤の色分け例
その他にも、毎日着るメディカルウェアをおしゃれなものに変えるとスタッフの気分が晴れやかになったり、動きやすい機能性の高いウェアにしたりすることで生産性が高まるといった効果も期待できます。
次章では、「メディカルウェアを変えることで残業時間は本当に削減できるの?」と疑問を持った方に向けて、メディカルウェアの色分けによって残業時間を削減した具体的な事例をご紹介します。
【事例】メディカルウェアの色分けで残業時間を削減した事例
国立大学法人 福井大学医学部付属病院では、超過勤務の要因の一つに、引き継ぎ可能な業務を残業してまで引き受けてしまう現状がありました。特に、夜勤シフトの看護師の仕事終わり間近は、医師や患者にとっては一日のはじめであるため、仕事を頼まれることが多くなります。
そこで、ユニフォームの更新時期を迎えたタイミングで、日勤と夜勤のユニフォームの色を変え、勤務と非勤務を明確化することにしました。日勤と夜勤でユニフォームの色を変えることで、就業規則上の勤務終了時刻を過ぎて残っている職員が明確になり、誰に声をかければ良いか一目でわかるようになりました。
これにより、年間900時間の残業時間削減につながり、看護部内外でコミュニケーションをとる機会も増えるといった効果も出ています。
出典:リクナビNext「ひと目で分かる。状況が伝わる。
「ユニフォームの色分け」というシンプルな施策で看護師の時間外労働を大幅削減(国立大学法人 福井大学医学部附属病院)」
毎日使うメディカルウェアの更新でワークライフバランスの改善を
前章の事例のように、メディカルウェアを日勤・夜勤で色分けすることで残業時間の削減とワークライフバランスの改善につながるため、色分けをしていない医療機関は導入をおすすめします。
オンワードコーポレートデザインでは多くのアパレルブランドを展開しており、そのノウハウを生かしてデザイン性と機能性に優れたメディカルウェアブランド「ラフィーリア」を提供しています。
豊富なカラーバリエーションのメディカルウェアをご用意しており、患者様の目に優しいカラー、肌馴染みの良いカラー、職員が着たいカラー、など多くの選択肢の中から選ぶことができます。また、各職場に合ったウェアの提案も可能です。
下記の資料では、看護師だけでなく、医療従事者全般が離職しない職場づくりのアイデアや、メディカルウェアの選び方について詳細に紹介しているので、看護師の残業削減やライフワークバランス改善を図りたい企業様はぜひご覧ください。
お役立ち資料
医療現場の深刻化する問題として求職者が少ない・離職者が多いこと による「人材不足」があり、早急な対策が必要となっています。 人材不足を解消する方法には、さまざまなものがありますが、方法に よっては手間やコストがかかるため、すべてが適切とは言えません。 そこで本書では、民間病院や小規模な病院でも始めやすいかつ、効果 のある職場づくりのアイデアをご紹介します。