医療現場における人手不足の原因とは?4つの対策をご紹介
医療現場で深刻化する人手不足
医療現場では人手不足が深刻化しており、採用難に陥っている病院も多いのではないでしょうか?
独立行政法人福祉医療機構経営サポートセンター リサーチグループの2023年9月の調査によると、一般病院の「経営上の課題」について、「職員確保難」が57.1%(最大3つまでの複数回答)で1位となっていることからも、人手不足が深刻化していることがわかります。
日本の医療現場で人手不足が起こっている原因ってなに?
では、日本の医療現場ではどのようなことが原因で人手不足が起こっているのでしょうか?
ここでは、主な3つの原因を1つずつ解説していきます。
病床数・病院数に対して、医師が足りていない
他の諸国と比較をすると、日本は人口当たりの医師が少ない割に病院数が多く、医師が足りていません。OECD(経済協力開発機構)によると、人口当たりの病院数では日本は3番目、人口1000人対の全病床数は1位に位置しており、医療施設は相対的に多いことがわかります。
しかし、人口1000人当たりの医師数は27位と、下から4番目の少なさです。
つまり、多くの病院を少ない医師で運営しているということであり、このことが医療現場の人手不足の一因となっています。
看護職員の人材需要が増加している
2つ目の人手不足の原因は、人材需要の増加です。
看護職員の就労数は毎年増加傾向にあるものの、医療業界全体で見ると看護職員が不足している状況です。新型コロナウイルス感染症の拡大や高齢化の影響で、人材の需要が急激に増加しており、供給が追い付いていないのです。
人材供給が追い付かないと看護職員が1人で担う業務の負荷が重くなり、離職率の高さにつながり、人手不足に拍車がかかってしまいます。
看護職員の離職率が高い
3つ目の原因は、先ほどもお伝えした離職率の高さです。
2023年3月31日に公開されている日本看護協会の「2022年 病院看護実態調査」によると、2021年度における正規雇用の看護職員の離職率は11.6%で、特に既卒採用者の離職率は16.8%と高い水準です。
離職率の高さの背景には、労働環境の悪さ(夜勤や残業が多いなど)や人間関係の悩みなどさまざまなことが関係しています。
看護師の離職率が高い具体的な理由や対策について詳細を知りたい方は、下記記事をご覧ください。
医療現場の人手不足は「医療事故・医療ミス」の原因に・・・
医療現場で人手不足が深刻化すると、忙しさから業務を丁寧に遂行しにくくなり、医療事故や医療ミスの発生につながります。2022年の看護職員の労働実態調査によると、医療看護事故が起きる大きな原因として「慢性的な人手不足による現場の忙しさ」が86.3%、「看護の知識や技術の未熟さ」が37.0%、「交替勤務による疲労の蓄積」が22.0%となっており、人手不足による忙しさが事故やミスを招いていることがわかります。
医療事故や医療ミスが起きてしまった場合、該当する医師や医療機関が責任を負う可能性が高いため、病院やクリニック経営において人手不足は早急に解決すべき問題です。
先述の調査における2つ目の原因「看護の知識や技術の未熟さ」、3つ目の原因「交替勤務による疲労の蓄積」も人手不足が要因となって引き起こされるため、人手不足を解消できれば事故のリスクも減ると言えるでしょう。
出典:日本医療労働組合 「2022年看護職員の労働実態調査」(2023年5月1日)
このようなリスクがあることから、医療現場の人手不足は早急に解決すべき課題です。
では、実際にどのようにすれば解決できるのでしょうか。
医療現場の人手不足を解消!4つの効果的な対策
医療現場の人手不足の解決策としては、次の4つの対策が効果的です。
労働環境の改善・福利厚生の整備を行う
まず求められるのが労働環境の改善です。福利厚生制度の見直しも一緒に行うとより効果的です。具体的には以下のような施策を進めていく必要があります。
・残業時間の削減
・デジタル化による業務効率化
・完全個室の寮を完備
・医院内の保育所設置
・診療費用の補助制度
・休職中の潜在看護師支援制度
・社宅、住宅補助、マイホーム取得支援制度、慶弔金制度など支援を選択できる
・通勤手当(準夜勤タクシー送迎など)
残業時間の増加は離職につながりやすいため、特に対策が必要になります。
残業時間を削減する方法としては、日勤・夜勤でユニフォームを使い分けるという施策があります。
医療機関は24時間体制のため、誰が残業をしているのかが見分けにくく、本人も定時終了の意識が薄まりやすい点が課題です。
▼ユニフォームの使い分けの例
そこで、周りから見て「本来の就業時間か残業中か」が視覚的にわかるようにすることで、勤務時間外の職員に仕事を依頼してしまうことを減らせます。また、自分だけ違う色のユニフォームを着ていると時間外勤務であることが明らかであるため、各職員の定時退勤の意識が高まります。
実際に、この取り組みで年間900時間の残業時間を削減した大学病院もあります。
出典:リクナビNext「ひと目で分かる。状況が伝わる。「ユニフォームの色分け」というシンプルな施策で看護師の時間外労働を大幅削減(国立大学法人 福井大学医学部附属病院)」
賃金を底上げする
労働に見合った賃金が支払われていないと感じれば、離職を考える人は当然のことながら増えます。
そこで給料や残業代の引き上げを行うことで、離職率の低下を防ぐことができ、人手不足の解消につながります。
ただし、病院経営において「人件費の増加」は課題であり、特に経営の厳しい医療機関は簡単には給料を上げられません。そのため、他の対策を考慮しておく必要があります。
研修や学習環境を提供する
医療に関する学習環境を整備することで、看護の知識や技術に対する不安を取り除き、離職を防ぐことができます。人手不足になると、業務範囲が広く責任のある仕事も増えるため、経験の浅い医療従事者を中心にケアをしっかりとする必要があります。
また、研修や学習制度が整っていれば、休職している人でも安心して職場復帰を目指すことができます。最近ではeラーニングを取り入れている医療機関もあります。
ここまでご紹介した働く環境の整備は、新たな人材の確保にあたっても重要なポイントです。
医療従事者が着用するメディカルウェアを更新する
最後に紹介する人手不足の解決策は、医療従事者の着用するメディカルウェアをデザイン性のあるものや機能性の優れたものに変えることです。
下着が透けやすかったり、通気性がなく厚手で動きづらかったり、ポケットからものが落ちやすいウェアだと、忙しく働く医療従事者のストレスの原因になります。一方で、機能性に優れたウェアやデザイン性の高いおしゃれなメディカルウェアであれば、働く人のモチベーション向上につながり、離職の防止に貢献します。
実際に「医療用ユニフォームの採用条件の違いが 看護師の心理やチーム医療にもたらす効果※」に関して研究した学術論文によると、通常のユニフォームと比較して、好きなユニフォームまたは話し合いで決めたユニフォームを着用した場合、仕事に対するやりがい感が強くなったという結果が出ています。
また、メディカルウェアの更新はモチベーション向上だけでなく、残業時間の削減に効果的です。先述したように、メディカルウェアを日勤・夜勤で色分けすることで、従業員の定時の意識を高めることができます。
デザイン性・機能性に優れたメディカルウェアはオンワードコーポレートデザインにお任せください
オンワードコーポレートデザインでは、多くのアパレルブランドを展開しており、そのノウハウを生かしてデザイン性と機能性に優れたメディカルウェアブランド「ラフィーリア」を展開しています。豊富なカラーバリエーションをご用意しており、患者様の目に優しいカラーや肌馴染みの良いカラー、職員が着たいカラーなど多くの選択肢の中からお選びいただけます。
そのほかにもラフィーリアのメディカルウェアには以下のような特長があります。
・アパレルメーカーだからこそできる高いデザイン性
・ラフィーリアにしかない充実したカラーバリエーション(肌馴染みの良いくすみカラーやニュアンスカラーもご用意しており、病院を明るくできます)
・医療従事者の快適な業務を支える品質・耐久性
・商品の開発からお届けまでにおける環境配慮
以下の資料では、医療業界の人手不足の解決策についてより詳しく紹介しています。
メディカルウェアのススメや選び方のポイントも解説していますので、病院経営において人材の確保にお悩みの医療機関はぜひご覧ください。
お役立ち資料
医療現場の深刻化する問題として求職者が少ない・離職者が多いこと による「人材不足」があり、早急な対策が必要となっています。 人材不足を解消する方法には、さまざまなものがありますが、方法に よっては手間やコストがかかるため、すべてが適切とは言えません。 そこで本書では、民間病院や小規模な病院でも始めやすいかつ、効果 のある職場づくりのアイデアをご紹介します。