人手不足解消・離職防止策

看護師の業務改善で現場の負担を軽減! 進め方と実践例を紹介

2025.04.21
医療現場の人手不足が深刻化する中、看護師の業務改善と現場の負担軽減が喫緊の課題となっています。看護師の業務改善を進めることで、人件費の削減や質の高いケアの提供、患者の満足度アップなど多くのメリットを得られますが、どのように進めればよいかわからない方もいるのではないでしょうか。本記事では、看護師の業務改善の進め方やポイント、業務改善事例などを解説します。

看護師の業務改善が求められる理由とは?


昨今、医療現場では以下の理由から看護師の業務効率化が強く求められています。

人手不足を改善するため

高齢化による看護・医療ニーズの増大を背景に、看護の現場では人手不足が深刻化しています。

厚生労働省の推計※によると、2025年の看護師の需要は188万人~202万人であるのに対し、供給に関しては175~182万人程度と見込まれ、最大で27万人が不足するおそれがあると言われています。

※出典:厚生労働省「医療従事者の需給に関する検討会 看護職員需給分科会 中間とりまとめ案(概要)」

今後は少子化により将来の成り手がさらに不足する可能性が高いため、医療現場における看護師の人手不足解消は喫緊の課題です。

以下の記事では、医療現場における人手不足の原因や対策について詳しく解説しています。

看護師の負担を減らし、質の高いケアを提供するため

2つ目の理由は、質の高いケアを提供する必要があるためです。

看護師の人手不足が常態化していると、業務負担が過大になり離職率の上昇を招く可能性が高まります。離職が増えるとさらに人手不足が深刻化し、一人あたりの業務負担が増えるという悪循環に陥ります。
看護師の負担が増えると、忙しさから質の高いケアが行えなくなり、ミスが増える原因になります。こうしたことから、看護師の負担をいかに軽減するかは医療現場にとって非常に重要な課題です。

以下の記事では、看護師の残業が多い理由や残業時間削減の方法などを解説しています。

また、以下の記事では看護師の負担軽減につながる働き方改革のポイントを解説しています。

看護師の業務改善をするメリット

看護師の業務改善を進めることで、人手不足の解消につながるだけでなく、以下のような効果も期待できます。

人件費の最適化によるコストダウン

業務改善が進んでおらず、残業や休日出勤が多い現場では残業代をはじめ余計な人件費がかかっています。
業務改善により看護師の作業効率が向上すると時間外労働が減るため、不要な人件費を削減できます。
無駄な業務の洗い出しや、業務のデジタル化を促すITツールの導入などを組み合わせることで業務改善をより効率的に進められ、コストダウンに貢献します。

スタッフの定着率アップ

業務改善は働きやすい職場環境の整備に貢献します。
効率化により時間的余裕が生まれることで、看護師の心身の負担が軽減され、激務やストレスを原因とする離職を防げます。働き方にゆとりが生まれると、職場の人間関係の改善やコミュニケーションの円滑化につながり、この点でも離職率の低下と人材の定着率向上が期待できます。
定着率がアップすることで、将来的な人手不足にも対応しやすくなります。

以下の記事では、看護師の離職率が高い理由と離職を防ぐ対策を解説しています。

サービスの質向上・患者満足度アップ

業務改善により生み出された時間を、患者さんへの質の高いケアの提供に充てることができるようになることもメリットです。例えば、時間的余裕が生まれることで患者さんや他のスタッフとのコミュニケーションが密になり、個々のニーズに応じたきめ細かなケアを提供することが可能となります。

また、丁寧なケアを行うことでミスの減少や安全性の向上につながり、結果として患者さんの満足度向上が期待できます。

業務改善の進め方:成功につながる4つのステップ

では、具体的にどのように業務改善を進めればよいのでしょうか。
以下では業務改善の進め方を4つのステップに分けて解説します。

1.現状の分析

まず、看護師の業務内容や業務フローを詳細に分析し、現状を把握します。
具体的には、業務フローを図示し、看護業務の1日の流れを可視化したうえで、看護記録、業務時間、残業時間、患者満足度などのデータを収集します。
看護師へのアンケートやヒアリングを行い、「何に困っているのか」「どのような点を改善したいのか」といった現場の声を収集することが効果的です。

2.課題の抽出

次に、現状分析の結果をもとに、業務改善が必要な課題を明確にします。
時間がかかっている業務やトラブルが起きやすい業務、非効率な作業などのボトルネックを洗い出し、患者さんの安全や看護師の業務負担に大きく影響する課題を優先的に抽出します。
課題を抽出する際には、いわゆる3M(ムリ・ムダ・ムラ)が発生してないか確認することがポイントです。

課題抽出の具体例:
・記録業務が多く、患者さんと接する時間が短い
・夜勤の看護師の負担が大きく、休憩時間が確保できない
・医療機器の配置が非効率で、移動時間が長くなる など

3.実行可能な改善計画の作成

課題を抽出した後は、解決するための具体的な改善策を立案し、実行可能な計画を作成します。その際には、前述のムリ・ムダ・ムラに合わせた改善策を考えることが重要です。

改善策の具体例:
・電子カルテの活用を進め、記録業務の効率化を図る
・夜勤体制を見直し、負担の均等化を図る
・医療機器の配置や使い方、手順などに関するマニュアルを作成し、業務を標準化する など

4.改善活動の評価

最後に、実施した改善策が効果を発揮しているかを評価し、継続的に改善を進めます。
その際には、記録時間の短縮率、残業の削減時間、患者満足度などを定量的に測定すると成果を実感しやすいでしょう(例:記録時間を50%短縮、残業時間を月10時間削減など)。
看護師へのアンケートやヒアリングを実施し、業務負担の変化を定性的に評価する方法もあります。

評価方法の具体例:
・電子カルテ導入後、記録時間がどの程度短縮されたか確認する
・夜勤負担軽減策を実施し、看護師の満足度が向上したか調査する など

業務改善をスムーズに進めるポイント

業務改善をスムーズに進めるポイント

業務改善をスムーズに進めるためには、以下のポイントを押さえることが重要です。

教育・研修による職員の意識向上

業務改善を効果的に進めるには、職員の意識向上や積極的な協力が不可欠です。定期的な研修や勉強会を実施することで、最新の医療知識や技術を学ぶことができ、臨床で発揮できるスキルの向上が期待できます。
また、業務改善の重要性や具体的な方法について理解を深めることで、職員全体の意識が向上し、改善に向けた積極的な参加を促すことができます。

チーム内のコミュニケーションを活性化

業務改善を成功させるには、チーム内のコミュニケーションを活性化させることが重要です。情報共有を徹底し、他職種との連携を促進することで、効率的な業務遂行が可能となります。
定期的にミーティングを実施し、現場の課題や改善案について意見交換を行うことで、チーム全体で問題解決に取り組む環境を整えることができます。その際には、現場目線・患者目線で提案を行うことがポイントです。

達成すべきゴールを明確に設定

具体的で測定可能な目標を設定することも大事なポイントです。
SMART基準に基づいたアプローチを用いて、具体性(Specific)、測定可能性(Measurable)、達成可能性(Achievable)、業務との関連性(Relevant)、期限の設定(Time-bound)を考慮した目標を立てると良いでしょう。
例えば、「患者満足度のスコアを現状から20%向上させる」といった具体的な数値目標を設定することで、改善の進捗を測定しやすくなります。

また、短期目標(数か月単位)と長期目標(数年単位)の両方を設定し、段階的に改善を進めると効果的です。目標達成に向けて定期的に進捗を評価し、必要に応じて計画を修正することで、継続的な改善サイクルを確立できるようになります。

看護現場での業務改善事例

以下では、看護現場における具体的な業務改善事例をご紹介します。

業務フロー・マニュアルの見直し

看護に対するニーズの多様化、検査の細分化などを受けて、従来の業務フロー・マニュアルでは効率的な業務を行うことが難しくなっている現場も少なくありません。そのため、時代やニーズの変化に合わせて業務フロー・マニュアルを柔軟に見直していくことが不可欠です。

例えば、ある施設では院内の専門スタッフが中心となり、感染対策の一環として汚物処理業務の見直しを実施しました。業務フローの改善に加え、設備や使用資材の工夫を取り入れることで、作業時間の短縮や感染リスクの低減につながりました。

チーム医療の活用

チーム医療とは、医療機関で働く多種多様な医療スタッフ(医師、看護師、薬剤師、理学療法士、介護士など)が、各々の専門性を活かしながら連携し、患者の状況に適した医療を提供する体制のことです。
チーム医療を活用することで、看護業務の効率化や質の高いケアの提供を実現できます。

例えば、ある医療機関では、急性期の患者に対してリハビリテーションを充実させるため、多職種の専門スタッフを配置し、365日体制でチーム医療を実施しました。これにより、従来よりも手厚いリハビリテーションを提供できるようになり、患者の回復をサポートする体制が整ったと報告されています。

チーム医療の概要や取り組み事例については以下の記事で詳しく解説しています。

IT技術の導入

IT技術を導入することで看護業務の効率化が可能となり、業務負担の軽減や患者さんへのきめ細かなケアなどを実現できます。
具体的には、以下のような例があります。

RPAの活用:
ある施設では、電子カルテの情報更新確認業務にRPA(パソコン上での定型的な業務を自動化するツール)を導入。これにより、確認に要する時間を短縮でき、他の業務へリソースを注力できるようになりました。

AIの活用:
ある病院では、言語解析AIを導入して電子カルテに記録された入院患者情報を解析することにより、転倒転落リスクを予測し、多職種連携で個別ケアを実践する取り組みを実践しています。

快適なメディカルウェアが職場改善をサポート!

ご紹介したように、看護師の職場改善方法としては業務フローの見直しやチーム医療の活用、IT技術の導入などさまざまなものがありますが、快適なメディカルウェアを導入することも効果的です。

例えば、通気性やストレッチ性、肌ざわりなどが良いものを選ぶことで快適に仕事ができ、業務の効率アップが期待できるほか、夜勤・日勤によってウェアを色分けすることで引継ぎがスムーズに行えるようになります。

オンワードコーポレートデザインでは、アパレルメーカーのノウハウを活かして、デザイン性と機能性に優れたメディカルウェアブランド「ラフィーリア」を提供しています。
動きやすさ・ストレッチ性に加え、肌ざわり・接触冷感性・制菌加工、工業洗濯にも耐えられる耐久性を実現し、快適な業務ができるようサポートします。肌なじみが良く、顔まわりを華やかに見せるデザイン性の高さから看護師のモチベーションアップにも寄与します。

【快適さと動きやすさを兼ね備えたアイテム】

・Champion

肌にやさしいソフトな風合いと、高いストレッチ性を備えた素材が、アクティブな動きをしっかりサポートします。
また、吸水性・拡散性に優れた毛細管構造のポリエステル糸を使用。セラミックを練り込んだ特殊ポリマーにより、透け防止、紫外線カット、クーリング効果といった高機能も実現しています。

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ラフィーリアの詳細についてはカタログをご覧ください。

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また下記の資料では、医療従事者が働きやすい職場づくりのアイデアや、メディカルウェアによる労働環境改善対策について解説していますので、ぜひご参考ください。

お役立ち資料

医療従事者が辞めない職場づくりのアイデア
医療従事者が辞めない職場づくりのアイデア

医療現場の深刻化する問題として求職者が少ない・離職者が多いこと による「人材不足」があり、早急な対策が必要となっています。 人材不足を解消する方法には、さまざまなものがありますが、方法に よっては手間やコストがかかるため、すべてが適切とは言えません。 そこで本書では、民間病院や小規模な病院でも始めやすいかつ、効果 のある職場づくりのアイデアをご紹介します。

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カタログ

「ラフィーリア」総合カタログ(156P)
「ラフィーリア」総合カタログ(156P)

アパレルメーカーのオンワードコーポレートデザインだからこそできる品質とファッション性を両立させた医療白衣ブランド「ラフィーリア」の総合カタログ(156p)です。

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