人手不足解消・離職防止策

看護師の離職率が高い理由とは?4つの理由と効果的な解決策をご紹介

2024.04.08
看護師の離職は医療現場にとって大きな悩みの種です。特に、個人病院や小中規模の病院は人手不足が進んでいるところが多く、看護師の業務負荷が重くなりやすいため、いかに看護師の離職を防止するかが重要になります。 そこで本記事では、看護師の離職率が高い理由や、離職防止のための方策について解説します。

看護師の離職率って本当に高いの?

看護師の離職率は高いと一般的に言われていますが、実際にどうなのでしょうか?

2023年3月31日に公開されている日本看護協会の「2022年 病院看護実態調査」によると、2021年度における正規雇用看護職員の離職率は11.6%で、2020年度よりも離職率は上がっていました。特に、既卒の看護職員の離職率は16.8%と高い水準でした。

病院看護職員の離職率の推移

出典:日本看護協会「2022年 病院看護実態調査」(2023年3月31日)

2021年度の日本企業の平均離職率は13.9%なので、特に既卒の看護職員の離職率は高いと言えるでしょう。

看護師の離職率が高い病院の特徴とは?

看護師の離職率は全体としては約1割となっていますが、病院によって離職率には違いがあります。では、離職率が高い病院にはどのような特徴があるのでしょうか?

民間病院である

看護師の離職率が高い病院の1つ目の特徴として、民間病院であることが挙げられます。

実際に、設置主体別の離職率を見ると※1、正規看護職員・新卒採用者・既卒採用者すべてで離職率が高かったのは「個人」でした。そのほか、全体的に法人病院の離職率が高いことから、「民間病院」の離職率も高いと言えます。

看護職員の離職率

※1出典:日本看護協会「2022年 病院看護実態調査」(2023年3月31日)

民間病院の離職率が高い背景には、病床数が小さく、ワークライフバランスに取り組みにくい面があります。実際に2022年度の病床数別の看護師の離職率を見ると※2、病床数が多いほど離職率が高い傾向にあることがわかります。また、看護師の退職理由を見てみると※3、「子育て」や「結婚」「超過勤務が長い」「昇進・昇給・給与への不満」など、看護師はワークライフバランスや福利厚生の充実を重要視していることがわかります。

このことから、規模が小さい民間病院は、規模が大きい国立や公立病院と比較すると、福利厚生やワークライフバランスなど働きやすい環境の整備が行き届かず、離職率が高くなっていることが想定されます。

2022年度 病床規模別離職率

2022年度 就業している求職者の退職したい理由(複数回答)

※2出典:日本看護協会「2022年 病院看護実態調査」(2023年3月31日)を参考に作成

※3出典:日本看護協会「2022年度『ナースセンター登録データに基づく看護職の求職・求人・終就職に関する分析』結果」(2023年11月14日)を参考に作成

規模が小さい

 

小規模の民間病院は離職率が高い傾向があるとお伝えしましたが、実際に2021年度の病床規模別の看護師の離職率を見ると※4、病床規模が小さくなるにつれて離職率が高くなる傾向にあることがわかります。

病床規模・正規雇用看護職員離職率および新卒・既卒採用者離職率

※4出典:日本看護協会 「2022年 病院看護・助産実態調査 報告書」

看護師の離職率が高い主な4つの理由

看護師の離職率が高い主な4つの理由

では、看護師の離職率が高い理由はどこにあるのでしょうか?ここでは、キャリアアップやスキルアップ等のポジティブな理由で退職する場合を除いた、離職の主な理由を4つ解説します。

職場での人間関係に悩みがある

まず挙げられるのが、職場での人間関係での悩みです。看護師が携わる仕事は人の命に関わるため、ミスに対するプレッシャーが重く、指摘も厳しくなりがちです。人間関係の悩みの種類には、主に下記のようなパターンがあるでしょう。

・パワーハラスメント
・セクシャルハラスメント
・いじめや嫌がらせ
・コミュニケーション不足

労働環境が悪い

人手不足の状態で働いていると、1人あたりの業務負担が大きくなる傾向があります。看護師は24時間体制で業務に当たらなければならず、働き方の構造上、過酷な勤務体制を余儀なくされることも珍しくありません。夜勤が多いことにより生活リズムが乱れて体調を崩してしまったり、急患の対応など厳しいプレッシャーのもと肉体的にも精神的にも疲弊したりといった理由で退職する人が出やすい労働環境だと言えます。

また、看護記録の記入や2交代制、3交代制勤務の引継ぎを始業時間前や終業時間後に行うことが常態化している病院やクリニックもあり、見えない間に残業時間や負担の増加につながっているケースもあります。特に、先述した規模が小さい病院は、夜勤免除や、時短勤務など福利厚生が整っていない病院も多く、職員の満足度が低くなりやすい傾向にあります。

<看護師の労働環境>
・夜勤勤務がある
・2交代制・3校体制勤務である
・看護師記録や急患の対応
・休日出勤がある(勉強会・研修・委員会)

一定の夜勤回数を超えた場合、手当を増額する仕組みはあるものの、半数以上の病院が対応しておらず、仕事量に見合った給料がもらえていないことも離職の原因となり得ます。

結婚や妊娠といったライフステージが変化する

看護師には女性が多いため、結婚や妊娠・出産といったライフステージの変化を機に退職する人も多く出てきます。福利厚生や労働環境が整っている病院であれば残ることも考えられますが、病院の規模が小さく産休や育休が取りにくい場合、待遇の良い他の病院へ転職することも選択肢になってしまいます。

患者との関係性がうまくいかない

看護師は患者と直接接する職業であるため、患者からの暴言やストレスを受けやすく、それを理由に退職するケースもあります。特に新卒採用の看護師の場合、経験不足から患者に信頼してもらえないなどの理由で、コミュニケーションをうまく取れないこともあるでしょう。

ここまでご紹介したように、人間関係や労働環境の悪さは看護師のモチベーション低下につながり、離職につながることはもちろん仕事のパフォーマンスにも大きく影響します。そこで、次章では、看護師の離職を防止するためにできることをご紹介します。

「離職していく看護仲間が多い・・・。」「看護師職員が長く働く職場づくりはどのように作るんだろう。」とお悩みの方はぜひご参考ください。

【離職防止策】看護師に長く働いてもらうために看護管理者ができることとは?

看護師の離職防止のために看護管理者ができることとしては、主に次の4つがあります。

看護師の離職防止のために看護管理者ができること

福利厚生の充実

まず重要になるのが福利厚生の充実です。離職を防止するには、看護師が働いた時間に見合う分の給料の提供や昇給制度の見直しを行う必要があります。ほかにも、育休制度や産休制度、健康診断の充実など、プライベートに関わる福利厚生を充実させることで、ライフステージが変わった後でも離職せずに残ってもらいやすくなります。

ただ、福利厚生の充実、特に給料や昇給関連は病院の経営が関わってくるので、すぐに変えるのはなかなか難しいです。

仕事のオンオフを明確にする労働環境整備

福利厚生を充実させたとしても、労働環境が見直されていないと離職防止にはつながりません。労働環境の見直し例としては以下が挙げられます。

<労働環境の見直し例>
・夜勤や交代勤務の負担軽減
・休日出勤の見直し
・柔軟なシフト制度の導入

負担を軽減するには労働時間を減らすことが効果的であり、残業時間を削減するためには「仕事のオンオフを明確にした職場環境づくり」が大切です。先述のように、看護師は2交代制や3交代制勤務の引継ぎを始業時間前や終業時間後に行うことが慣習化していたり、それぞれ勤務時間が異なるため誰がどのくらい残業しているのかわからなかったりします。

残業時間削減の方法としては、現場の働き方に関する意識を醸成することに加え、ユニフォームの色を日勤・夜勤で使い分けるなどして視覚的にオンオフをつける方法があります。これにより、現場で働く看護師本人の意識を高めるだけでなく、管理職や他職種から見たときにも残業しているかどうかが明確になり、「年間900時間の残業時間の削減」につながった大学病院もあります。

職場で良好な人間関係を築き、協力し合える体制を整える

職場の人間関係を良好に保つことも離職を防止するうえで重要です。信頼関係を築くために上司と部下で1on1ミーティングを実施したり、気軽に意見を交換できる場を設けたりすることが大切になります。

また、看護師間で協力し合える関係性を構築するための工夫も行うと良いでしょう。チームナーシングやパートナーシップ・ナーシング・システムといった看護体制を採用したり、情報共有の精度を上げたりする取り組みがおすすめです。こういった制度を導入していれば、先述した患者との関係性がうまくいかないという悩みに対しても、相談やアドバイスがしやすい環境を作れます。また、個人がストレスを抱えている場合、互いにサポートしやすくなります。

先述した日勤者と夜勤者が区別できるユニフォームの色分けは、役割の違いを明確に示しつつ、業務を引き継ぐ際の協力体制を強化させる施策としても効果を発揮します。

看護師のモチベーションが上がる職場にする

ここまでご紹介してきた解決策以外にも、看護師のモチベーションを向上させる方法はないかを探していくことが重要です。看護師のモチベーションを維持できれば、離職の防止につながります。

モチベーションを上げる施策として、毎日着る医療用ユニフォームをおしゃれなウェアに変えたり、動きやすく肌触りが良いなど機能性の高いウェアにしたりするといった工夫もできます。

実際に「医療用ユニフォームの採用条件の違いが 看護師の心理やチーム医療にもたらす効果」に関して研究した学術論文によると、通常のユニフォームと比較して、好きなユニフォームまたは話し合いで決めたユニフォームを着用した場合、仕事に対するやりがい感が強くなったという結果が出ています。

出典;医療用ユニフォームの採用条件の違いが 看護師の心理やチーム医療にもたらす効果

毎日着るメディカルウェアの更新で、職場改善を

毎日着るメディカルウェアの更新で、職場改善を

先述した通り、看護師をはじめとした医療従事者の働きやすい環境整備や、チームワークの醸成、モチベーション向上を推進する方法として、メディカルウェアの改善が挙げられます。

ウェアの色分けをすることで生産性の向上が期待できるだけでなく、メディカルウェアの改善によって患者に安心感や信頼感を与えることもできます。

デザイン性・機能性を両立させたオンワードコーポレートデザインのメディカルウェア

オンワードコーポレートデザインでは多くのアパレルブランドを展開しており、そのノウハウを生かしてデザイン性と機能性に優れたメディカルウェアブランド「ラフィーリア」を展開しています。

弊社では、豊富なカラーバリエーションをご用意しており、患者様の目に優しいカラー、肌馴染みの良いカラー、職員が着たいカラー、など多くの選択肢の中からお選びいただけます。また、各職場に合ったウェアの提案も可能です。

<ラフィーリアのメディカルウェアの特長>
・アパレルメーカーだからこそできる高いデザイン性
・ラフィーリアにしかない充実したカラーバリエーション(肌馴染みの良いくすみカラーやニュアンスカラーもご用意しており、病院を明るくできます)
・医療従事者の快適な業務を支える品質・耐久性
・商品の開発からお届けまでにおける環境配慮

以下の資料では、看護師だけでなく、医療従事者の人手不足の解決策や、メディカルウェアの選び方について詳細に紹介しています。人材獲得にお困りの企業様はぜひご覧ください。

お役立ち資料

医療従事者が辞めない職場づくりのアイデア
医療従事者が辞めない職場づくりのアイデア

医療現場の深刻化する問題として求職者が少ない・離職者が多いこと による「人材不足」があり、早急な対策が必要となっています。 人材不足を解消する方法には、さまざまなものがありますが、方法に よっては手間やコストがかかるため、すべてが適切とは言えません。 そこで本書では、民間病院や小規模な病院でも始めやすいかつ、効果 のある職場づくりのアイデアをご紹介します。

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「ラフィーリア」総合カタログ(136P)
「ラフィーリア」総合カタログ(136P)

アパレルメーカーのオンワードコーポレートデザインだからこそできる品質とファッション性を両立させた医療白衣ブランド「ラフィーリア」の総合カタログ(136p)です。

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