看護師と患者さんの信頼関係はどのように構築する?よくある悩みと取り組むべきこと
患者さんと信頼関係を築くのが難しい…と悩む看護師は多い
看護師にとって、患者さんとのコミュニケーションは重要な仕事の1つです。
患者さんは「病気やケガがちゃんと治るのか?」「いつごろ退院できるのか?」「家族に心配をかけていないか?」「入院している間、仕事は大丈夫か?」といったさまざまな疑問や悩みを抱えており、ナーバスになりがちです。
そうしたとき、看護師が丁寧にコミュニケーションをとり、患者さんと信頼関係を築いて安心感を持ってもらうことが重要になります。それにより、患者さんの不安を解消し、適切な看護や治療につなげられます。
しかし、多くの看護師が患者さんとの信頼関係構築や接し方に悩んでいるのも事実です。株式会社マイナビの調査によると、約85%もの看護師が患者さんとのコミュニケーションで困りごとがあると回答しており、その中でも、38.8%の看護師が患者さんとの信頼関係の構築が難しいと回答しています。※
患者さんとの関係性構築がうまくいかないと、看護がしにくいだけでなく、看護師が離職する原因の1つとなる可能性もあるため、解決に向けて取り組むことが必要です。
そこで次章では、患者さんとの信頼関係構築においてよくある悩みと解決策をご紹介します。
>備考:看護師の離職につながるその他の理由について知りたい方は下記記事をご覧ください。
どのように患者さんと信頼関係を築くべき?よくある悩みと解決策
悩み①:患者さんが本音を言ってくれない
患者さんから本音を聞き出せずに業務に支障が出てしまう看護師もいらっしゃるのではないでしょうか。例えば、不調があっても正直に言ってくれない、薬を飲み忘れていたことを正直に言ってくれない、などです。患者さんが本音で話してくれないということは、信頼や安心感が不足している可能性があります。
そうした場合には、患者さんが本音で話してくれない理由を考え、責めるのではなく「共感」を示して会話をすることが重要です。
例えば、不調があっても正直に言ってくれない場合、「どうして痛いって言わないんですか?」と怒るよりも「追加検査怖いですか?」と質問を変えたり、「入院期間伸びるの嫌ですよね」といったように共感をしてあげたりします。この過程では、看護師が話しかけるだけでなく患者さんの話を傾聴することが重要です。
また、会話以外にも、表情やジェスチャー、態度など、言葉に表れないサインから感情を読み取り、親身に接することも大切です。
このように、患者さんのことを最優先に考え安心してもらえるような接し方を意識することで、患者さんが本音を打ち明けやすくなります。
悩み②:不安になっている患者さんの対応方法がわからない
患者さんはさまざまな要因で不安を抱えていることが多く、「どうやって接すれば良いかわからない」というお悩みを抱える看護師も少なくありません。
不安を抱えている患者さんに対しては、何に対して不安を抱えているのか耳を傾け、「ちゃんと理解していますよ」という姿勢を示すことが大切です。そうすることで、今の感情や状況をよりオープンに話してくれる可能性が高まります。
また、治療のプロセスや日程をできるだけ正確にわかりやすく情報を伝えることで、患者さんに現状を正しく理解してもらい、不明な点を解消することも大切です。患者さんに説明をするときは、身体にやさしく触れる・患部をさするといったタッチングも効果的です。
悩み③:患者さんに暴言や怒りをぶつけられた時の対応がわからない
心身が弱っている患者さんは不安を抱えやすく、感情の起伏が激しくなっていることも…。些細なことで看護師に対して暴言や怒りをぶつけてしまうことがよくあります。
特に、新人や若手など、経験が浅い看護師は怒りをぶつけるターゲットになりやすいです。
そうしたときに一番大事なのは、患者さんの怒りや暴言に対して冷静で落ち着いた態度を保つことです。その上で、患者さんの話を丁寧に聞き、「何に怒っているのかちゃんと理解しています」という姿勢を示します。
一人での対処が難しい場合は複数人で対応し、上司や他のスタッフに相談すると良いでしょう。もし、その患者さんと信頼関係が出来上がっている看護師がいれば、助けを求めるなど一人で抱え込まず臨機応変に対応することが大切です。
信頼関係構築の要は「共感力」!
前章をお読みいただいてもわかるように、患者さんとの信頼関係構築の要は「共感力」にあります。患者さんによって症状や治療の方法はもちろん、性格や価値観なども違うので、一人ひとりの置かれた状況をしっかりと観察して共感していることを言葉や行動で示す必要があります。
これにより、患者さんから「この看護師は自分の感情や状況を理解してくれている」と思ってもらうことが大切です。
共感力を高めるためにできることとして下記4つが挙げられます。
- 患者さんの使った言葉を繰り返す
患者さんの使った言葉を繰り返すことで、自分の言葉を理解してくれていると感じ、信頼関係が深まりやすくなります。また、同じ言葉を使うことで、看護師自身が相手の感情や意図をきちんと理解することができるようになります。 - 動作を合わせる
動作や仕草、姿勢などを相手に合わせることで、共感やコミュニケーションの促進につながります。これは「ミラーリング」として知られているテクニックで、相手の姿勢や表情、ジェスチャーなどに合わせて自分も同様の動作を取ることで親近感を持ってもらいやすくなり、関係をより深めることができます。ただし、ミラーリングを意識しすぎるとかえって不自然になってしまうので、自然な形で行うことが大切です。 - 会話のテンポやリズムを合わせる
患者さんと会話のテンポやリズムを合わせることでも、より良いコミュニケーションが行えるようになります。相手の話すスピードや間を注意深く観察し、自分の話すスピードや間を合わせることで、患者さんがストレスなく会話できるようになります。これにより、お互いの理解度や共感度が高まり、信頼関係が築きやすくなります。 - 患者さんの話を最後まで聞く
看護師側から話しけかけることも必要ですが、患者さんの話をさえぎってしまうと「自分のことを受け入れてもらえない」と感じてしまうため、最後まで傾聴してあげることが大切になります。
共感力が大事というお話をしましたが、その他にも患者さんとの関係性を構築するうえで重要なポイントはいくつかあります。次章では、その他のポイントについても解説していきます。
その他に重要なこととは?患者さんとの信頼関係を構築する3つのポイント
① 声掛けを行う
声掛けを行い、コミュニケーションの頻度を上げることで信頼をしやすくなる状況を作ることができます。声掛けの仕方や内容によっては、相手を思いやる気持ちが伝わるため、患者さんも看護師に対して安心感を覚えやすくなります。
患者さんに声掛けを行う際は、相手の名前を呼びながら、ゆっくり、はっきりと伝えましょう。
② 表情や身振り手振り、タッチングを活用する
声掛けのような分かりやすいコミュニケーションだけでなく、言語に依らない表情や身振り手振りなども信頼関係を構築するうえで大事な要素です。特に高齢の患者さんは耳が聞こえにくい方もいらっしゃるため、視覚や触覚を活用してコミュニケーションを行うことがポイントになってきます。
- 表情・・・優しい笑顔で接することで安心感を与えることができる
- 身振り手振り・・・患者さんの特性に合わせて、落ち着いた方であればゆっくりさりげなく、活発な方であれば大胆に身体全体を使って会話をする
- タッチング・・・手を当てる・揉む・さする・触れる・軽くたたくなど、色々なタッチングの種類があり、患者さんの患部をさすったり、優しく触れたりすることで痛みを和らげる効果がある
③ 清潔な身だしなみを心がける
視覚を活用したコミュニケーションの1つとして身だしなみもあります。医療現場に限らず、清潔感がない見た目の人に対してはどうしてもだらしない印象を持ってしまいますし、「この人を信頼して大丈夫かな?」「仕事もいい加減なのでは?」と思われやすくなります。これでは信頼感や安心感を与えることがなかなかできません。
看護師の身だしなみが清潔で、しっかりしている印象を与えることができれば、病院の設備や医療体制もしっかりしているとイメージされやすくなるので、清潔な身だしなみはとても重要な要素です。
看護師は医療の現場でメディカルウェアを着ることが基本であり、清潔感があり整った印象を与えられるメディカルウェアを導入することで、安心感や信頼感の醸成につながります。
次章では、そうしたメディカルウェアをご紹介します。
メディカルウェアの工夫で患者さんの安心感や信頼感をアップ!
オンワードコーポレートデザインでは多くのアパレルブランドを展開しており、そのノウハウを生かしてデザイン性と機能性に優れたメディカルウェアブランド「ラフィーリア」を提供しています。
豊富なカラーバリエーションをご用意しており、襟元やボタン、シルエットなど細部にもこだわりデザイン性を高めつつも、患者さんへの刺激が少なく、優しさ・信頼感・好印象を与えられるデザインに仕上げることが可能です。清潔感のあるスタイリッシュなデザインで患者さんに安心感を与え、信頼関係構築に役立ちます。
また、清潔感だけでなく、おしゃれで着心地の良いメディカルウェアを着用することで、看護師のモチベーションが向上し離職を防ぐ効果も期待できます。
下記の資料では、医療従事者が離職しない職場づくりのアイデアや、メディカルウェアの選び方について詳細に紹介していますのでぜひご覧ください。
お役立ち資料
医療現場の深刻化する問題として求職者が少ない・離職者が多いこと による「人材不足」があり、早急な対策が必要となっています。 人材不足を解消する方法には、さまざまなものがありますが、方法に よっては手間やコストがかかるため、すべてが適切とは言えません。 そこで本書では、民間病院や小規模な病院でも始めやすいかつ、効果 のある職場づくりのアイデアをご紹介します。